長野県産材木の利用促進について
弊社では構造材は無垢材にこだわっています。その無垢材もSDGSの観点から、長野県産材の利用を促進しております。
金額的には輸入材木の方が明らかに安いです。しかし、海外で伐採され実際に長野県で使用するまでに、海上輸送・陸上輸送と大量の化石燃料を消費して運ばれてくるわけです。それであれば長野県産材木を使用した方が地球環境に負担は少ないのは明白だと思います。
長野県では以前に植樹された人工林の役7割が間伐が必要な時期になっており、山崩れ防止や二酸化炭素を吸収するといった森林機能の効果を維持するためにも、間伐を行い利用していくことが重要だと考えています。
そんな中、長野県では「信州健康ゼロエネ住宅」を制定し、県産木材を活用した住宅の新築工事や既存住宅の断熱性能を向上させるリフォーム工事をする際の費用の一部を助成しています。(令和4年度信州健康ゼロエネ住宅助成金)
(信州健康ゼロエネ住宅指針 https://www.pref.nagano.lg.jp/kenchiku/kenkozeroene/shishin.html)
(信州健康ゼロエネ住宅助成金 https://www.pref.nagano.lg.jp/kenchiku/kenkozeroene/joseikin.html)
次に無垢材にこだわる理由についてです。
現在新築住宅(新設着工住宅)のうち、木造の割合は全国平均で88.0%となっており、長野県ではこれを上回る90.3%となっています。(国土交通省資料:構造別,建て方別,利用関係別―新設住宅の戸数,床面積の合計抜粋)
そのうち、構造材に集成材を使用する割合が約40%と年々高くなってきています。
ここで、無垢材と集成材について簡単にまとめておきます。
■無垢材
接着剤を使わず製材品としてそのまま利用する木材。(農林水産省 農林水産関係用語集についてより)
要は木を乾燥させて、製材してそのまま利用するということです。
■集成材
ひき板、小角材等をその繊維方向を互いにほぼ平行にして、厚さ、幅及び長さの方向に集成接着をした一般材(集成材の日本農林規格より)
(画像出展:日本集成材工業協同組合 https://www.syuseizai.com/home)
特徴(メリット・デメリット)
■無垢材
質感がよくぬくもりがある
1本の木からできており、工業製品でない
反りや乾燥収縮、ひび割れが集成材に比べ大きい
同じ樹種でも1本1本違うため、品質にばらつきが起こりやすい
■集成材
製品のため品質が安定している
小さな材料を接着剤で張り合わせているため、反りやひび割れが起こりずらい
大断面の材料が作れる
耐用年数は無垢材に比べ低い
こう見ると集成材メリットが多いですね。長野市にあるエムウェーブ(長野オリンピックのスピードスケート会場)も集成材が使用された、世界最大級の木造つり屋根構造で建てられています。画像の屋根の部分が集成材です。
(画像出展:株式会社エムウェーブ http://www.nagano-mwave.co.jp/m_wave/about/)
メリットの多い集成材ではなく、弊社がなぜ無垢材にこだわるかですが、一番の理由は耐用年数です。
集成材の耐用年数は一般的に50年〜70年と言われています。それを過ぎると接着剤が剥離してしまうと言われています。一方無垢材ですが、日本最古の木造建築物の「法隆寺」は607年に聖徳太子によって建立されました。670年に落雷による火災で消失されたようで、実際は690年ごろからの現存ですが1300年以上と、耐久性の差は歴然です。
法隆寺は大袈裟でしたが、近くの神社やお寺を思い出してみてください。数十年〜数百年は経っていると思います。木造建築は地震に弱く、耐久性も弱いと思われがちですが、全然そんなことないですよね。また、「法隆寺五重塔」は耐震的にも非常に優れた技術が使われていますので、興味のある方は調べてみてください。
2つ目の理由として、無垢材は木材の良さをそのまま味わうことが出来ます。和室など柱が見えるような仕上げ(真壁)は質感など、集成材では比べるまでもありません。
3つ目に化学物質を使用していないということがあげられます。集成材は接着剤を使用しています。もちろん国の基準でホルムアルデヒドを使用しないなど定められていますので安心かと思いますが、アレルギーや、喘息などで自然素材に気を使う方は無垢材と言われる方が多いです。
最後になりますが、無垢材を使用するにあたり大工の材木を見る目が重要になってきます。
材木は使い方を間違えると家を壊すと言われることがあります。欅(けやき)などの堅木は木目が複雑で、反ってしまうと大きな力が働くので、使用する際は注意が必要です。昔は大黒柱に欅を使用することがあり、使い方を間違え壁にヒビが入ったりということがあったそうです。どの材木をどの向きに使うかなど、熟練の技術が必要になります。
このように弊社では無垢材を使用しておりますが、集成材が悪いというわけではなく、それぞれのメリット・デメリットを把握した上で選ぶのが良いと思います。